朝、Macを立ち上げてニュースをチェックしていると、J.D.サリンジャーの訃報が目に飛び込んできた。
「ライ麦畑でつかまえて」は、たしか高校三年の時に読んだ。野崎孝訳のその文章は、口語体でありながら流麗なリズムで読みやすくて、ご多分に漏れず僕もすっかり魅了された。ただ、あの頃の僕が本当の意味でこの本を咀嚼し、自分なりに理解できていたかというと、どうも怪しい。「この本がいいと思えるならいっぱしのセンスの持ち主だ」みたいな見栄もちょっとあったかもしれない(苦笑)。
僕が特に好きなのは、主人公のホールデンと妹のフィービーのやりとりだ。ホールデンが一人で西部に行こうとしてフィービーに別れを告げようと待っていると、フィービーが自分もついていくつもりで勝手に荷造りしたスーツケースをひきずってきた場面とか、ラストの回転木馬の場面とか。今、本棚から取り出してパラパラとめくってみたら、しっかりその場面のページの角が折ってあった。やっぱり僕も、いろんな意味でサリンジャーの影響を受けていたのだと思う。
1965年に雑誌に作品を発表したのを最後に、サリンジャーはニューハンプシャーの田舎町で隠遁生活を送り、ずっと沈黙を守り続けた。噂では、まだ誰も知らない作品が存在するのではないかと言われている。

