昨日の夜は、アップルの新製品発表会をネットで見るために、夜更かしをしてしまった。ついに登場した噂のタブレット、iPad。以下はその雑感。
事前にいろんな噂が飛び交って、期待値が異様に大きくなっていたせいもあるが、iPadのスペックに関しては、正直ちょっと拍子抜け。「でっかいiPod touchなんじゃね?」という印象だった(笑)。でも、発表会終了後にアップルのサイトに掲載されたデモムービーを見て、「これはすごいかもしれない‥‥」とちょっと認識が変わった。とにかく、動作がシンプルで、スムーズで、直感的なのだ。触っていれば、何となく使い方がわかってしまう。iPhoneで培ったインターフェイスデザインのノウハウが存分に活かされている。
作ろうと思えば、他社のネットブックのように小型でそこそこのスペックのノートパソコンも作れたはずだ。だがアップルはそれをせずに、iPhoneをスケールアップして、iPhoneとMacの間のポジションに入る製品を作ることを選んだ。たぶんそれは、アップルがテクノロジーから発想するのではなく、ユーザーが生活の中のどんなシーンで何を必要としているのか、という視点から製品を発想しているからだと思う。
その象徴が、発表会のステージに置かれたソファだ。ジョブズをはじめとしたプレゼンターはソファに腰掛け、膝の上で軽くiPadを抱えながらタッチ操作をしてみせた。あれは、「iPadはこういうシーンでこう使うものですよ」というデモンストレーションだ。居間のソファにのんびりもたれながら、マルチタスクでややこしい作業をしたいと思うような人はいない。MacともiPhoneとも違う生活のシーンの中での使い方を提案する、うまいプレゼンテーションだったと思う。
職業柄、気になるのは、電子書籍について。詳細が不明な点も多いが、iPad向けに電子書籍を配信する方法はいくつか考えられる。一つは、今回アナウンスされたiBookstoreによる配信。もう一つは、現時点でiPhone向けにいくつか存在する単体のアプリとしての配信。そしてもう一つは、すでにiPhone用も存在するアマゾンのKindleアプリでKindle向け電子書籍を購入して読む方法だ。これらの方法が共存する方向になるのかどうかは予断を許さないが、いずれにしても、日本の出版業界に電子書籍が台頭してくるのは、もはや避けられない流れだろう。
個人的には、電子書籍のようなデジタルコンテンツに対してはそれほど抵抗感はないけれど、紙の本のよさというものも大切にしていきたいとも思う。やっぱり今の自分にできるのは、それがどんな形であれ、一冊々々、いい本を作っていくことだけなのかもしれない。