朝のうち、結構激しく降っていた雨が、午後になって上がった。
Web系の本のゲラチェックを終えた後、晩飯に使う食材の買い出しに近所のスーパーに出かける。ひと通り買い物を終え、ネギがひょっこり突き出たエコバックを肩に担ぎながら家に戻る道を歩いていると、どんよりとした雲が切れて、赤紫色の夕暮れの光がこぼれてきた。
ラダックで暮らしていた頃、僕は夕焼けらしい夕焼けを見た記憶がほとんどない。標高3500メートルのヒマラヤの地では、空を赤く染める原因となる湿気や大気中の塵が少ないので、夕焼けが起こりにくいのだと聞いたことがある。
いつのまにか、東京の空にすっかり慣れてしまったような気がする。細い路地に、街灯がパパパッと点りはじめた。

