西村佳哲「自分をいかして生きる」

livealive.jpg六年前に刊行されて以来ロングセラーとなっている西村佳哲さんの「自分の仕事をつくる」。その続編(西村さん自身は「補稿」と書かれている)にあたる「自分をいかして生きる」を献本していただいたので、さっそく読ませていただいた。

前作は、柳宗理さんや馬場浩史さん、甲田幹夫さんなど、さまざまな仕事をしている人々へのインタビューを中心に構成されていた。今回の「自分をいかして生きる」は、いくつかのインタビューやコラムは含まれているものの、主に西村さん自身の言葉で「働き方」と「生き方」についての考察が語られている。文章はけっして堅苦しいものではなく、西村さん独特のふわっとした柔らかい文体で、すらすらと読みやすい。そしてその中には、何年間も思索を重ねる中で掴み取ってきたに違いない、含蓄のある言葉が含まれている。

「いい仕事」とは、その人が「いる」感じがする仕事。人が「より生きている」ようになることを助ける働き。「好き」だけではすまない、自分の中で「ザワザワする」「お客さんではすまない」部分を掘り下げてみる。「自分」が同時に「わたしたち」でもあるような感覚で取り組めるかどうか。「自分をころして生きる」と「自分をいかして生きる」という二つのあり方が並んでいたら‥‥。

僕自身が「リトルスターレストランのつくりかた。」という「働き方」や「生き方」をテーマにした本を書いた直後だったこともあるが、この「自分をいかして生きる」を読んでいると、至るところで「そうそう、そうですよね!」と腑に落ちる言葉に出会うことが多かった。もっと言ってしまうと、ここ数年の自分自身の「生き方」――雑誌を中心に活動するフリーライターとして恵まれた仕事をさせてもらえていたのに、それらをすべて放擲して、一冊の本を書くためにラダックに行き、帰国後も自分で企画した書籍の仕事に絞っていることが、間違ってはいなかったと再確認できたような気がする。

西村さんが書いた本を読んでいるのに、まるで、自分の話を西村さんに聞いてもらっているような‥‥そして西村さんに「そうか、そんなことがあったんですか。それはもしかすると、こういうことなのかもしれないですね‥‥」と穏やかに相槌を打ってもらっているような、不思議な感じのする本だった。

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