奥華子「花火」

hanabi.jpg花火」は、2004年にリリースされた奥華子のインディーズ時代のファーストシングルだ。2000枚限定で販売されたこのCDは、再販を望むファンの声も多かったのだが、なかなか実現せず、中古市場では十数万円という異常な高値がつけられるほどだった。その「花火」が、今年の夏、ようやく再販された。

楽曲自体は以前YouTubeなどで耳にしたことはあったが、ちゃんとした音源であらためて聴いてみると、いい曲だなあ、と思う。甘いようで甘すぎず、せつないようでどこかさらりとしていて、聴き終わった後も、じんわりと余韻が残る。

このCDが作られた頃、奥華子はまだ路上でキーボードを弾きながらたった一人で歌っていた。自分の歌は本当に人の心に届いているのか。自分はこれからどうなるのか。何から何まで不安だらけだったに違いない。でも、その頃の必死の努力が実を結び、彼女は一年後にメジャーデビューを果たす。以来、地道に経験を積んで安定感を増してきた今の奥華子と比べると、この「花火」を歌っている彼女の声には、ぽきっと折れてしまいそうな危うさと、変わらなければ、何とかしなければ、というひたむきさがにじみ出ているような気がする。逆に言えば、その危うさ、ひたむきさが、この曲が纏う、えもいわれぬ魅力の一因になっているのかもしれない。

「通り過ぎてく風の向こうに答えがあると信じていた」

この歌詞を聴くと、個人的に昔のちょっと苦い記憶が甦るので、なおのことせつない(苦笑)。

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