敬遠

今日はゆっくり昨日の取材のノートを見直そうと思っていたのだが、ワールド・ベースボール・クラシック決勝戦をうっかり見始めたせいで、それどころではなくなってしまった。

確かに、手に汗握る試合だった。突き離す日本、追いすがる韓国。同点に追いつかれてもつれ込んだ十回表、ツーアウト、ランナー二、三塁。打者はイチロー。WBCでは不振だったとはいえ、この日はすでに三安打。普通なら敬遠して満塁にし、守りやすくするところだ。

ところが、韓国の林昌勇はイチローを敬遠しようとしない。その結果、真ん中付近に入った甘い球をセンター前に弾き返されてしまう。途轍もないプレッシャーがかかっていたこの場面で大仕事をやってのけたイチローは確かにすごいが、ここで勝負を選んだ韓国ベンチの采配は、どうにも不可解だった。

試合後のインタビューで、韓国の金寅植監督は「ボール球を主体に投げて、状況がよくなければ歩かせてもいいというサインを捕手に送ったが、それが投手に伝わっていなかったようだ」と語り、「はっきりとした敬遠の指示をしなかったのが敗因だ」と認めた。では、なぜ明確な敬遠の指示をしなかったのか?

たぶん韓国ベンチは、敬遠したくてもできなかったのだ。宿敵日本の野球の象徴的存在であるイチローを韓国の人々は必要以上に敵視しているふしがある。そんなイチローをこの土壇場で敬遠して逃げてしまったら、国民に何を言われるかわからない。ほかの選手ならともかく、イチローからは逃げたくても逃げられない。強すぎる愛国心ゆえのプレッシャーが、ベンチの判断を誤らせたのだと思う。

ま、個人的には、日本が優勝してうれしいというより、また韓国の選手たちがマウンドに国旗を立てるなどという対戦相手への敬意を欠いた幼稚な振る舞いをするところを見ずにすんでほっとしたというのが、正直なところ。

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