二週間前に発注したパーツが届いたという知らせを受け、ブロンプトンに乗って和田サイクル(仮店舗)へ行く。和田さんやお客さんとマニアックなおしゃべりをしながらパーツを取り付けてもらう。帰り道、コーヒー豆を仕入れるために三月珈琲工房へ。
三月珈琲工房は、三鷹のまほろば珈琲店で修業していた甲斐一江さんが、二年前に独立してオープンした店だ。甲斐さんは「おいしい珈琲をごいっしょに」という本を書くほどコーヒーに対して造詣が深い人だが、吉祥寺駅から徒歩20分の住宅街に店を構えるのは、かなりの冒険だったに違いない。でも今は、ご近所さんを中心にしっかりとお客さんが来てくれるようになった。きちんとおいしいコーヒー豆を焙煎し続けている甲斐さんの努力あってのことだと思う。
「豆を焙煎していると、自分の中では、もっとああしたい、こうしたい、と求め続けているものはあるのよ。でもお客さんにとっては、もしかしたらそんな違いはあまり関係なくて、毎日ちゃんとおいしいコーヒーが飲めることが大事なのかなと思うこともあるし。あたし、神経質すぎるのかしらねえ?」
そういう逡巡は、ものづくりに携わる人には多かれ少なかれあるのではないかと思う。求められることを無視するのもよくないし、求めることをあきらめるのもよくない。難しいけど、どちらもコツコツ積み重ねていくしかないのかもしれない。そうすれば、両者が重なってくる時もあるのではないだろうか。
甲斐さんが焙煎した豆で淹れたコーヒーは、すっきりとしていてとてもおいしい。

