発信された情報が、あっという間に消費されて消えていくWebの世界では、「この人、文章うまいなあ」と思えるサイトに出会うことはなかなかない。そんな中でも、Engadget JapaneseのIttousaiさんが書く文章の斬れ味には、いつも感心させられる。
本家のEngadgetは、デジタルガジェットについての情報を紹介している米国の大手ニュースブログ。日本語版のサイトは当初かなりヒドイものだったが、Ittousaiさんがほぼ一人で仕切るようになってからは、文章のクオリティがグッと向上した。
彼の文章は、本家の記事の直訳ではなく、関連する情報をきちんと咀嚼した上で構成された独自のスタイルになっている。淡々と綴っていながら、斬るべきところでズバッと斬る。ユーモアやアイロニーを控えめに効かせつつ、でも愛情も忘れない。他のサイトで同じニュースが発信されていても、「これを彼はどう斬っているか」と気になって、ついついチェックしてしまう。
同じガジェット系ブログの大手であるGizmodo Japanと比べてみれば、Ittousaiさんの文章の斬れ味がよくわかる。Gizmodo Japanではより多くのスタッフを投入し、同じく本家Gizmodoの記事にアレンジを加えながら発信しているが、どの記事も必要以上に面白おかしくウケを狙った文体になっていて、少なくとも僕の個人的な印象では、それがことごとく上滑ってしまっている印象が拭えない。
Gizmodo Japanのように最初から最後までユニークな表現や言い回しを並べて読者を面白がらせようとするのは、実はとても難しい。それよりもEngadget Japaneseのように、抑制の効いた文体の中にここぞというところでピリッとスパイスを投入する方が、はるかにまとめやすく、完成度も高くなる。そうするにはもちろん、書き手の中にそのテーマに対する情報の蓄積や確固とした主張がなければならないのだが。
そういえば、Engadget Japaneseはちょっと前に新しい執筆者を募集していた。今の面白さをスポイルしないような、有望なスタッフが加わってくれることを祈る。

